言葉はいつも想いに足りない

~きおくのきろく~

「なんか不思議な感じがする」
「うん、なんか不思議な感じ」
 ふたりの気持ち・想いがひとつになった瞬間。手をつなぎました。手をつないじゃいました。彼女の手は暖かく、僕はとてもドキドキしました。手をつないで歩く駅までの道のり、このままずーっと歩いていたいと思っていた。この瞬間が永遠に続けばいいのに…。数分後、駅に到着。手はまた離れ離れに。僕の手は彼女の手を握ることで初めてその存在意義を見いだす、彼女の手を握るために僕の手はこの世に存在するんじゃないのか、そんな気持ちになる。
 鍋美味しかったなぁ。スーパーでいっしょに買い物。並んでいっしょに料理の支度。包丁で野菜を切る彼女の後ろ姿を見つめ、いっしょに鍋をつついた。たわいもない会話の数々…。
 僕は今日の日を一生忘れない。こんな素敵な日を決して忘れない。
 今日僕が話したかったことは最後の30分。話しができてよかった。たどたどしく優柔不断なしゃべり方になってしまっていた気もとってもするけど、ちゃんと話しができてよかった。目を見つめながら話しをした。照れもあった。でも彼女はちゃんと聞いてくれた。
 正直、自分にはもったいなすぎる方だと思う。がんばらねばいけないと思う。何をどうということではない。「すべてに」だ。