言葉はいつも想いに足りない

~きおくのきろく~

 今の気持ちを知っておく。明日に向けて。
 ここ最近の精神状態はすこぶるよい。なんの問題もなく。あの子に最後に会ってから今日で38日目、頭の中の桃濃度はめちゃめちゃ低くなった。あの子のことを考える時間はほとんどないくらいだ。あの子のことを考えないので感情が高ぶることもなく、涙を滲ますこともない。むしろあの子のことは考えたくないくらいだ。蓋をして奥にしまい込んだ自分のほんとの気持ちなど知りたくもない。知ったところでどうしようもないのだから。でも明日のためには無理にでもその想いを整理しておかないといけないと思う。いきなり明日…では少し怖いのだ。
 会っていないからこそ、濃度を下げれている現状。なのに刺激を与えてしまったらどうなるか、火を見るより明らかすぎる。なんとかライトにできないものだろうか。ライトにあの子が好き…そんなふうになれないものか。今の精神状態ならなれそうな気もするが、これは頭の中の濃度が低いからそう思えるのだろう。明日会ったら今まで蓋をして閉じこめた想いが一気に爆発しそうで怖い。いつぞやの鹿児島みたくなるのがとても怖い。結局は会わないことが一番なのだ。会わなければ思い違いをすることもないのだから。
 でも会いたい気持ちがでてきた。でも会いたい。会いたい…。ほんとに会いたいのかは分からない。でも会いたい…のかな。ほんとの気持ちを探っても会いたいのか会いたくないのかよく分からない。
 会いたい気持ちもある。会いたくない気持ちもある。明日会わなければ年内会うことはないだろう。年内会わなければ来年だって…。それでいいのか?…分からない。あんなにかわいいあの子にもう二度と会わなくてもいいのか?…よくない気がする。夏夏を思い出せよ、あの楽しかった夏夏を!…だよな、夏夏には思い出がいっぱいだ。
 1か0しか選択肢はないのか、なんとかならないものか。ライトに好きなままでいることはできないものか。明日、大阪のときのように案ずるより生むがやすしにならないだろうか。そうはうまくいかないんだろうな、自分のことだから。
 ダメだ、あの子のことを考えようとすると頭が拒否するようにデフォルト設定されてる。こんな頭で明日を向かえたらどうなるんだ…絶対揺り戻しじゃないか。なんでこう同じことを繰り返すのだ。どこまでバカなんだお前は。後悔したら成長しろよ。
 うぅん、だいじょぶだ。明日はだいじょぶ。うまくいける気がしてきた。重く考えるからいけないのだ。桃の呪縛はきっと溶けている。だからだいじょぶ。ライトに、あくまでライトに。あぁでも怖い…。逃げ出したいくらいに怖い。
 あの子への想いを捨て、みやたんに戻るというのはどうだろう。そこか。あの子への想いを捨てなくともいいんだ。どちらかではなく、みやたんを少し高くするだけでもいいんだ。0と100ではなく、50と50じゃなくてもいいから。みやたんあんなにかわいいじゃないか。そうだよな、かわいいよな。んん、りしゃこだってあんなにかわいいじゃないか。だよな、かわいいよな。少しでもいいからあの子の濃度を下げるんだ。そうすればきっとうまくいく。あ、でもあの子ほどの興味が沸かない…ダメだ。
 あの子のことを考えようとすると拒否するようにデフォルトされてしまっている今の頭ではいろいろ深い部分を探ることはできないようだ。何を思ってもすべてあの子抜きで考えようとしてしまう。いよいよ明日はぶっつけで会うことになるのか。この頭はどういう反応を示すのだろうか。一歩先へ進むことができるのか、揺り戻しに苦しむのか、果たして。


※デフォルト拒否ができるのはあの子をあの子と呼んでいるからだった。久しぶりにももちゃんと呼ぼうとしたら拒否に戸惑いを感じた。





 肝心なことを忘れていた。自分はロッカー。ヲタクじゃない。いつまでもくよくよとくしくししているわけにはいかないのだ。かっこよくありたいのだ、かっこよく。


青空広がる未来になあれ
あの太陽は俺たちを照らすためだけに昇るのさ
いいことあるだろう!